Hello
第46章 ひらり*末ズ
どよんとしてる潤くんの肩を抱く。
俺は、かずを抱き上げることもできないのか……と落ち込んでる潤くんが、可笑しい。
俺は励ますように、自分に言い聞かせるように、潤くんの背中をポンポンと叩いた。
「こないだみたいに、いつのまにか戻ってるよ。今の潤くんでできることをしたらいーじゃん」
「かずを持ち上げることもできないのに?」
こだわるなぁ……。
俺は苦笑して、潤くんの白い頬に、チュッとキスをして、その細い体をぎゅうっと抱き締めた。
「俺はどんな潤くんでも好きだよ」
「……非力でも?」
「若い潤くんに抱かれるのも背徳的でドキドキするし」
「……背徳的」
潤くんは呟いて、俺の顔を見つめた。
その瞳の奥にギラリとした欲情の焔をみつけた気がして、心臓がドキリとなった。
「かず……」
「……ん?」
「……いいの?」
「………いいよ」
いいよ。甘えてあげる。
俺の一言で顔つきの変わった潤くんは、俺の肩をゆっくりと押して、俺をラグに横たえた。
どうみても学生な潤くんの顔がちかづいてくる。
俺の頬を包む指は細くて、手のひらは薄く華奢だ。
「かず……」
「ん……」
でも。
キスは、やっぱりかわんない。
潤くんだ。
なんだか安心して、舌を絡ませながら、俺はゆっくり目を閉じた。
ふと目が覚める。
静かな空気はまだ真夜中を意味してる。
背中に感じる俺を抱き締めてる胸は広い。
俺のお腹にまわる腕は逞しくて。
顔をみなくてもわかった。
ほらね……戻った。
いつもの潤くんの大きな手のうえに俺の丸い手を重ねた。
お月様のイタズラだったのかな……。
カーテンを開け放した窓から、凛とした空に浮かぶ満月がみえる。
月の光が、真っ暗な部屋を薄く照らしてる。
…まぁ…若い潤くんに抱かれるなんて、めちゃくちゃレアな体験だったかもね。
俺はふふっと笑って、ゆっくりと目を閉じた。
潤くんの鼓動と寝息を背中に感じながら。
fin.