Hello
第51章 おやくそく* にのあい
Aiba
カメラのまわってないところで、お前のせいだ、と言わんばかりの睨みをきかせ、馬鹿じゃねーの、と、ちくちく悪態をつき続け。
なんとかかんとか、冠番組のスペシャルの収録を終えたにのは、オッケーの合図がでてもその場から動こうとしなかった。
「……にの?」
控えめに問いかけると。
「だめだ……もう」
言うなり、俺の肩にこてんと頭をおき、はぁとため息をついた。
あまり、スタッフがいる前で疲れた顔をみせないにのが、うつむいたまま全体重を俺にかけている。
俺は、その小さな頭に、今日何万回言ったか分からないセリフを、もう一度囁いた。
「……ごめんね、にの」
「も……いーって」
認めたくないけど……しちゃった俺も悪いし。
と、小さく呟く声に、苦笑した。
俺は、にのをささえる腕に力をこめて、撤収作業をしてるスタッフを見渡した。
幸いこちらに注意をむけてる人物はいない。
俺は、細い肩をぎゅっと抱いて、お疲れ様、と言った。
「車いこうか。立てる?」
「無理」
「……じゃ、どーすんの」
「おんぶ」
「……俺はいいけど。いいの?」
「……嘘に決まってんだろ」
にのは白い顔をあげて、口を尖らせた。
久しぶりの二人きりのロケの前日。
お互い……まぁ主に俺だけど、ちょっとはしゃいでいて。
早く寝ればいいのに、夜にしっかりガッツリ営んでしまって。
お腹が痛いところからスタートしたロケは、腰が痛いくせにツーリング、体力ないくせにシュノーケリング、船だめなくせに五分間も乗る、とどめにカニを求め歩き回る……という、本日のにのには超過酷なもので。
さらにアルコールまで入った彼は、はっきりいって終盤は使い物にならなかった。