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Hello

第51章 おやくそく* にのあい


「とりあえず、ほら。つかまって」

「んー……」


ふらふらしてる頭をポンポンとたたく。
俺の腕につかまらせて、ゆっくり立ち上がった。

車までの距離が長い。


「にのちゃん、酔っ払ったってー」


心配して駆け寄ってくるマネージャーを、朗らかな言葉で制して、俺はにのの腰を支えて、歩く。

なるべく大袈裟にならない程度に。
なんなら、にのも時々顔をあげて周りを見て、大丈夫アピールをしつつ。


「……腰は?」

「いてーよ」

「……気分は?」

「最悪」


不機嫌にポンポン返ってくる言葉。


だよね。
そうだよね。

でもさ……。



「……今日……楽しかった?」


ぽつりと聞いてみる。

俺は、今日のこのロケを、本当に楽しみに楽しみにしていて。
にのと二人でツーリングだなんて、この先二度とない企画だったから嬉しくて嬉しくて。

ツーリング以外の企画もすごいたくさん考えた。

だから……にのにも楽しんでほしかったんだよな。

でも、こんな体調の悪いにのには無茶だったよなぁ……。

大反省。

俺は小さくため息をついた。


やっぱ、昨日の晩、調子にのって、何回もしちゃったし、中出しまでしちゃったし、なかなか寝かせてあげれなかったのがだめだったよなぁ……。

ああ……つくづく俺のバカバカ。
この無節操な下半身が恨めしい……。


でも、可愛すぎるにのちゃんが悪いんだぞ……!
色気を振り撒くもんだから……!


悶々とそんなことを考えてたら。


「……楽しかったよ」


ぼそりと、傍らから投げられる言葉に、ふぇっ?!と変な声が出た。

にのはクスクス笑って、なによ、その声……、と突っ込み、もう一度鮮やかに微笑んでみせた。


「……楽しかった。ありがとう……まーくん」


え……えっと。えっと。



「……マジ?」


思わず、聞き返すと、にのはコックリ頷いて、再び俺にしがみついた。


「……さしあたり、明日の晩はハンバーグでよろしく」

「……う、うんうん!了解」


やった!
楽しかったって!
嬉しい!!


「チーズたくさんのせるからね!」

と、嬉しさのあまり、大サービスを約束すると、にのは、当然とばかりに、悠然と微笑む。


ああ……やっぱり、にのちゃん大好き!

腰をぎゅうぎゅう抱き寄せた。


「痛ぇな、この馬鹿力!」


fin💗

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