Hello
第52章 にのみみ * にのあい
Nino
満面の笑みの相葉さんに手渡された、見覚えのあるアイテムに、顔がひきつった。
少し前に番組で使って、良くも悪くもいろんな種類の笑いをかっさらったもの。
俺は、それを凝視して……相葉さんを見上げた。
相葉さんは、期待に満ちた顔で、お願いっと手をあわせてきた。
いや……あのさぁ……
「………これどーしろと?」
「つけて」
「やだ」
「なんで?!」
相葉さんが「えー?!」という顔をするから、俺も、「えー……?」という顔をしてみせた。
この人は、時々こういう予期せぬことを要求してくるからビビる。
これは、ハードルは低い方ではあるけれど。
俺もう三十後半よ?
「だって……どうしてしなきゃなんないの?」
「かわいいから!」
「……かわいくねーだろーよ」
「ううん。オンエアすんげー可愛かったもん!」
俺、何回リピしたかわかんない!と、相葉さんが力説する。
俺は、脳波で動くと言われる、そのフワフワした耳を……見つめた。
……マジかよ?