Hello
第54章 宴 4
相葉くんの水割りをつくってやるために、キッチンに立つ。
「相葉くんのおかわりを、翔くんがつくるの?(笑)」
先にキッチンに立ってた松潤は、スライスしたトマトをかじり、笑った。
「うん…だって、そろそろ薄めにつくらないと、相葉くんつぶれちゃうよ」
俺はウィスキーのボトルから、琥珀色の液体を気持ち少なめにグラスに注いだ。
カランカランと、氷をいれる。
「………つぶれたいんじゃない」
「う………ん、まぁね。でも、体によくはないだろ」
キッチンからリビングをみると、相葉くんは、にのに寄りかかって、ニコニコわらってる。
その反対側は兄さんが陣取ってて。
にのは、二人に挟まれながら、サキイカをむにむに噛んでる。
三人が三人ともハイペースだ。
「酔いたい……か」
「……お祝いだからね」
「……そうだな」
「…………」
「…………」
俺は、松潤の腰をそっと引き寄せた。
松潤は驚いた顔で、俺を見る。
その目に浮かぶ咎めるような光を無視して、俺は顔を寄せた。
掠めるようなキス。
松潤は、赤い顔をして、俺を睨んだ。
「……翔くん」
「ずっと……笑っていような」
俺が言うと、松潤は目を見開いた。
センチメンタルな気分は……俺らには、まだいらないさ。
「相葉くーん、できたよー」
俺はグラスを持ってリビングに向かった。
キッチンでガタガタっとまな板を落とす音がした。
「潤ちゃーん?だいじょーぶー?」
「ごめん、大丈夫!」
松潤の焦った声を背に、俺は、相葉くんの横にすべりこみ、再びお箸を手に取った。
「刺身まだある?」
「あるよ。ちなみに枝豆も」
にのが大皿をこちらに寄せてきた。
俺は笑って、ビールの缶を開けた。
fin.