Hello
第54章 宴 4
「よーし。そんなら始めますか」
テーブルを見渡して、俺がパチンと手を叩いた。
「ライターは?ろうそくつけようよ。翔ちゃんライター!」
「はい、これ」
俺が動く前に、松潤がライターを差し出す。
……さすが松潤は俺の家を熟知してる。
引き出しから出してきた俺の私物を、相葉くんに渡すと、相葉くんは、さすが、というように、にっと笑って、大きな21という数字のろうそくに火をつけた。
「お祝いだね」
「お誕生日だもん」
「……おめでとう」
「おめでと」
「みんなおめでとう」
ゆらゆらとゆれるろうそくを五人でしばらく無言で見つめる。
みんな何を考えているのだろう。
これまでか。
……これからか。
それぞれの胸のうちはわからないけど。
今、俺たちが見てる方向は一緒のはずだ。
四人の表情を見渡して。
俺は、沈黙を破るように、では、よろしいですか?と、わざと、陽気な声をあげた。
みんなの空気が緩んだ。
せーの、で、みんなでふき消すとこから宴はスタートした。
今年は、例年よりひときわ思い入れが強いのはみんな同じみたいで、酒のペースが異常に早い。
まるで、センチメンタルな雰囲気になってしまいそうなのを、みんなが無意識に避けているかのようだった。
「翔ちゃぁーん、おかわりー」
赤い顔でグラスをかかげる相葉くん。
ほんのり目元の赤いにのは、自分で何本目かのビールの缶を開けてる。
兄さんは、顔にでないかわりに、目がすわりはじめてる。
さっきからにのに絡んで、ほにゃほにゃ笑ってる。
松潤は、食べたいから、と、トマトを切り始めた。
……みんな自由だ。