Hello
第56章 patisserie SHO * バンビズ
「あは……ごめんごめん」
ぎゅっと肩を抱き寄せて、髪の毛にキスしたら、翔くんはちょっと身じろいだ。
そうして、拗ねたように口を尖らせる。
「……結果オーライだろ。ほら、出来上がり見ろよ」
言われるままに目をやると、確かに、画面の向こうのパティシエ翔くんが、できたぁと、喜んでる。
几帳面なようで、雑な一面をもつ翔くんならではのバースデーケーキ。
…イチゴが歪んで飾られてるのはご愛嬌だな。
「……ほんとだ。うまいじゃん」
「だろ?」
「味は?どうだったの?」
「うまかった。感動したもん、俺」
翔くんが得意気に鼻を膨らませてる。
「そう……よかったね」
「めちゃめちゃ時間かかったけどな」
苦笑いする翔くん。
「ま、おまえの誕生日はまかせとけ」
「……期待してる」
材料は多めに用意してあげておいた方が、よさそうだな、と、思いつつ。
あれだけ一生懸命作ってくれるのならば、ホール一個食べれるかもな、と、思う俺は、やはり翔くんに惚れてるんだろう。
「ん?」
翔くんが、きょとんとした顔をするから、そのイチゴのような唇をそっと食んだ。
ちゅ……と、音をたてて顔を離すと、翔くんが赤い顔をして俺を睨んでる。
「……いきなり、すんなよ」
「……好きなくせに」
「うるさ……」
悪態をつく彼の唇を再び塞ぎ、ソファーに押し倒した。
CHU💗