Hello
第59章 The best smile*バンビズ
「はっ?おま……」
ふっと正気にかえった翔くんが怒鳴る。
「……だって、翔くんがそんな顔するから」
「……どんな顔だよ!」
「ほら……まだ柔らかいよ?」
「あほ!さわんな!」
「元気そうだし……」
「っ……これは、朝だから……っ」
じたばたする翔くんを体全部で抱きこんだ。
そのままじっとしてると、やがてあきらめたように、翔くんもおとなしくなる。
顔中にキスして……ささやいた。
「……ねぇ……いいでしょ」
「……ずりぃぞ……」
翔くんは、あきらめたように吐息をひとつついた。
でも……、と、俺を見上げてしかたなさそうに笑った。
「……誕生日だしな」
「誕生日だからね」
翔くんの体から力がぬけ、俺の背中に手が回った。
俺は、翔くんの足をかかえあげて肩にのせ、もう一度、静かに体を繋げた。
翔くんが、んん……と、声をあげた。
繋げることが全てじゃないけど。
翔くんに包まれることで、これ以上ないほどの幸せを実感できるから……
俺の翔くん。
翔くんは、俺に静かに揺さぶられながら、ふわふわ笑った。
この笑顔を守りたい。
最高の場所で見続けるために。
俺は、これからもあなたを愛するよ。
fin.