Hello
第63章 可愛い人は④*山
Sho
腹に響くような、ドンという音が鳴ったと思ったら、頭上に赤い大きな花が広がった。
歓声があがる。
続けてドンドンと、いう音ともに色とりどりの花火が夜空を彩る。
「綺麗…」
智くんが呟いたのがわかった。
横目でみると、嬉しそうに目を細め、空を見上げてる。
顎のラインがすごく綺麗だ。
光に照らされた顔が輝いて、それがまるで女神みたいで。
俺は本気で一瞬見惚れた。
思わずそっと手を繋ぐと、智くんのポカポカした手がきゅっと俺の手を握り返してくる。
幸せだなぁ……と思う。
お互いこんな格好までして。
これだけの人混みにくるなんて、バレたらやばいじゃすまされないのに。
咎めるでもなく、嫌がるでもなく、一緒に楽しんでくれるのがこの人だ。
「ねぇ、翔くん」
「ん?」
「今年も見れて良かったね」
人混みから離れた場所だからか、智くんが、遠慮ない大きな声で言って。
ね、と、俺を見上げた。
俺はにっこりと微笑んで頷いた。
「また来ようね」
智くんは、嬉しそうに頷いた。
来年は、どちらが彼女になるのか。
智くんとの攻防戦も…………これまた楽しみ。
fin.