Hello
第27章 Just a bit * バンビズ
J
リーダーに促された翔さんの指が、ぎゅっと俺の指に絡み付いた。
そして、まるで、こっち見てよ、というように、そのまま力がこめられる。
反射的にうつむいてた俺は、もう一度そっと翔さんの顔を見上げた。
すると、翔さんは困ったように眉毛をさげて、笑顔をみせてる。
「………許してくれた?」
確認してくる言葉に、俺は、唇をかんで軽く頷いた。
なんか……こうやってすぐに素直に謝られちゃうと、怒り続けらんないや。
そもそも、この不仲説は、翔さんが俺のためにしてくれてることって、実は知ってるんだから。
このことで拗ねるのは……お門違いなんだよね。
まあ………口調がきつかったのは、照れ隠し……ってことにしといてあげるよ。
………俺も大人になんなきゃね。
手を繋いだまま見つめあってたら、リーダーが、再びぼそり。
「ほれ、仲直りのキスは」
「!?」
思わず、リーダーを振り返った。
「ばっ………しねーよっ」
翔さんが慌てて否定した。
「じゃ、俺が松潤にしよっかな?」
リーダーが、横から俺の頬にその華奢な手をかけ、そっと顔を寄せてきた。
綺麗に整った顔が、いたずらっぽい表情をのせ接近してくるのを、俺は唖然として見ていた。
………えっ?!
ちょっと待って?
意味がわからない!
俺が動けずにいたら、ぐいっと、すごい力で引っ張りあげられ、俺は、翔さんの腕のなかに転がり込んだ。
「ちょっと…大野さんっ! なにわけわかんねーことしてんの!」
翔さんが再び慌てたように怒鳴り、俺をリーダーから遠ざけるようにして、ぎゅっと正面から抱き寄せた。
翔さんの言葉に、ふふっと微笑むリーダー。
横から、にのが、
「…翔さんの負け。まんまと誘導されてるし」
冷静に解説するのを、相葉くんがにこにこして頷いた。
「キスじゃなくて、ハグで仲直りだね」
「………」
「………」
俺は、翔さんのたくましい腕のなかで真っ赤になってる自分を自覚してた。
翔さんが、え?とか、わ?とかいって、腕をといた。
リーダーが、ふん、と鼻で笑って、もとの位置に戻る。
俺も逃げるように椅子に座った。
………翔さんに触れられたところが熱い。
誤魔化すように冷めたコーヒーを一気飲みしながら思った。
やっぱり、リーダーにはかなわない。
fin.