テキストサイズ

Hello

第27章 Just a bit  * バンビズ


Ono


………世話がやけるな。


渋々、松潤のとこに向かった翔ちゃんは、スマホを弄ってる彼に二言、三言話しかけたものの、肝心の松潤が顔をあげてくれないから、途方にくれてる。

でも、松潤の表情が見える位置に座ってるにのと相葉ちゃんが、穏やかな顔をして、時々笑いあってるのを見てると、深刻な感じじゃなさそうだよな。

黙って突っ立ってる翔ちゃんは、まるで立たされてる学生みたいだ。
撫で肩が、ますます撫でて哀愁すら漂ってる。


情けないなあ、もう。
松潤の前だと、ダメなんだね。


俺は、はあ、とため息をついて立ち上がった。


本来なら、こんなくだらない痴話喧嘩ほっとくに限るんだけど。
このあと収録だし。
妙な空気のままは、正直めんどくさい。

ゆっくり翔ちゃんたちに歩み寄った。

後ろから静かに近寄ったもんだから、二人とも俺に気づいてない。


………さて。


俺は、翔ちゃんのどよんとした背中に近寄り、左手で翔ちゃんの右手首をつかんだ。

「?!」

びっくりした顔で、一瞬引っ込められかけた手を、俺のバカ力でぐいっと引っ張り直し、そのまま右手で、松潤のスマホを奪い取る。

「なにす………っ」

突然、弄ってた玩具を取り上げられた松潤が、咄嗟に顔をあげたが、取り上げたのが俺だと分かったとたんに戸惑う顔になった。

俺は、無言でスマホをテーブルに滑らせ、松潤の細い手首をつかみあげる。

お前らより背はちっちゃいかもだけど、力は負けてねぇんだぞ。

無表情の俺に、松潤は一瞬怯えるような顔になって、大きな瞳でじっと俺を見上げてくる。

「………仲直り」

俺は、ぼそりといって二人の手を触れさせた。
二人は、戸惑う顔で俺を見つめてから、お互いに目をあわせたようだった。

「手。繋いで?」

触れさせた手を、ぐいっともっと密着するように近づけ、静かに促すと、ちょっと迷ったように動きをとめてた翔ちゃんの白い指が、するりと松潤の細い指に絡んだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ