Hello
第32章 宴 3
Aiba
テーブルに置いていたスマホがブルッと震えたのに気づき、読んでいた台本から目をあげて、画面に指を滑らした。
「……?……にの?」
画面に浮かぶメッセージには、
『今から行く』
と、一言。
「………?今から?」
壁にかけている時計を見上げれば、大概遅い時間だ。
今日は、お互いに仕事が終わる時間が読めないし、加えて、にのは明日の入りが早いときいたから、家で一人で大人しく台本を読んでいるところだった。
「……気がかわったのかな」
呟いて立ち上がる。
天の邪鬼な恋人は、会いたくても会いたいとは、決して言わない。
そのかわり、こうやって、行動で訴えてくるところがあり。
なんか、食うかなぁ……と、キッチンに入りかけたら、ピンポーンと、インターホンが鳴った。
不審に思い、モニターを見れば、ギュウギュウに密着した顔がいくつか。
……え?
『相葉さん。入れて』
モニターにマックス近づいた大きい顔が、どうやらにの。
「……他に誰かいるの?」
『……うん』
『相葉くーん』
にのの後ろから、丸い顔がひょこっと現れた。
「え、翔ちゃん?」
驚いていたら、その後ろから、黙ってニヤリと笑っているリーダーと、濃いイケメンもみえて。
「え、なに?!」
『あーけーてー』
翔ちゃんの訴えに、慌てて解錠した。
どやどやと、入ってきた四人に、俺は一人状況がわからず、あたふたしている。
「お邪魔しまーす」
「お初ー。相葉くんち。なんだ、片付いてるじゃん」
「はい、これお土産ー」
などと、好き勝手言ってるみんなの中から、にのの手を引っ張り、焦って詰め寄った。
「ちょっと、にの。これ何?」
「リーダーたっての希望なの」
「え?」
「……明日はなんの日?」
言われて、眉間にしわをよせて考え込む俺。
……なんの日?
……
…
「あ」
はっと目を丸くした俺に、にのは、ニヤリと笑った。
「みんなでカウントダウンしたかったそうです」
「……カウントダウン……」
「去年の言い出しっぺの人の家で」
「去年……え?!」
ぼそぼそと言ってる俺らに、リーダーが得意な顔をして近づいてきた。