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Hello

第34章 はれやか * にのあい


Nino


ここ最近ずっと早くあがれてたのに、よりによって今日に限って仕事が終わるのが遅くなった。

俺は、移動車のリアシートでゲームをしながら、チラリと車の時計を盗み見る。

現在時刻は九時半。

七時過ぎに、「にのん家に着いたよ〰️」ってラインが入っていたから。

きっと、あいつは、待ちくたびれていることだろう。



『ハロパしよ!ハロパ!』

と、持ちかけられたのは今月頭。

最初はハロパをタコパの間違いじゃね?と思ったくらい、興味ゼロの分野だっただけに、俺が首を縦にふったのは、ある意味奇跡だ。

だって、ハロウィンなんて、別に俺にとっちゃどうでもいい。
何より面倒だもん。
ここは日本だし。

だけど、何かしらイベントを絡めて楽しく過ごしたいあいつ…相葉さんにうまいこと言いくるめられ、…あれよあれよと俺の家で、二人でパーティーという流れに。


でも、相葉さんは、今日を超楽しみにしているみたいで。


どこそこのカボチャのプリン持っていくからね!と、一週間前から宣言されていた。


そこまで楽しみにしていてくれてるなら…と、実は俺もちょっとだけその気になり、仕込んでみた。


いつもならそんなサービスなんかしないけど、ニュースで、日本の若者が暴徒化した去年の祭りを見ていたら、イベントっつーのはな。こうやってささやかに楽しくやんだよ!と、お手本を見せたい気分になってきてさ…。


手元にある紙袋をたぐりよせて、あぐらを組み直した。


「あと、15分くらいでつきます」


マネージャーの言葉に、うん、と返して、俺は再びゲーム画面に目をおとした。


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