Hello
第35章 大野さんと僕ら
おしまい…じゃなくない?
さっき、指に口づけられたおかげで、俺の体は完全にスイッチが入った。
どーしてくれんだよ!?
どくんどくんと、中心は疼くし、触れてほしくてたまらなくて。
俺が、じっと黙ってると、翔ちゃんは苦笑いした。
「そんな、物欲しそうにしないで。先にお祝いしよう?」
ケーキ買ってきた、と身を翻しかけた翔ちゃんの腕を、がしっとつかんだ。
「やだ…」
「……」
「触って……」
翔ちゃんの手を、ぐいっと引っ張り、俺の胸にあてた。
だってご無沙汰だもん……!
翔ちゃんに触られただけで、俺は……。
切羽詰まった俺に、翔ちゃんは楽しそうに微笑んだ。
「んじゃ、一緒にお風呂入ろっか」
「……そーじゃなくて」
「お風呂でしちゃう?」
「……」
いたずらっぽく笑んだ翔ちゃんの手が、俺の手をとった。
「今日は、いくらでも、ほしいだけ俺をあげるよ。……あなたの誕生日だから」
……本当に……?
「うん……欲しい。ちょうだい」
俺は導かれるままに、翔ちゃんとバスルームになだれこんだ。
「翔ちゃん……ぁん……翔ちゃん」
「智くん……愛してる……」
「うん…ああっ…俺も……」
日付がかわっても。
翔ちゃんは、ずっとずっと俺を求めてくれた。
俺も何度も翔ちゃんを求めた。
好きだよ…翔ちゃん。
ずっと、一緒にいてね…。
漏れる喘ぎ声の合間に伝える言葉。
翔ちゃんは、深く微笑んで、うなずいた。
お誕生日おめでとう……智くん。
ずっと一緒にいようね……
約束だよ……?
約束。
fin.