
僕のまーくん。
第37章 かずくんがヤバい!?
綾「気付いてたんですか?」
……えっ?
静かにそう一言放った綾野くん。
僕は、思わず
N「なんで?えっ!?なんで?」
持ってたお弁当箱の袋を、胸にギュウッと
抱き締めて綾野くんを見ていた。
綾野くんの表情はいつもと変わらない。
まだ少し赤いけど、無表情のまんま。
その真意が分からない。
N「えっ?ねぇ、本当に?本当にそうなの?」
まだ、信じられない僕は勢いだけで綾野くんを
問い詰める。
綾野くんが、ピアノの前の椅子にまた
ストンと腰掛ける姿を目で追った。
N「つけてるって……なんで?」
僕のその一言に被すように綾野くんは、また
ピアノの鍵盤に指を置いて、ポロンと音を出した。
その、指の動きに自然に目がいく。
N「綾野くん……ねぇ?」
座っている綾野くんに一歩近付く。
スウッと、こっちを振り返った綾野くんと
しっかり目が合った僕は……
その切れ長の目に、捕らわれた。
まるで、蛇に睨まれた蛙。
状態。
思わず、ゴクリと唾を飲み込んだ。
そんな、動けなくなった僕に綾野くんは
「……冗談」
って一言、ボソッと呟いた。
……はっ?
冗談?
何の冗談よ?
N「えっ?」
綾野くんから目が離せない僕は、
そのまま固まったまんま
それだけ返すのがやっとだった。
