
僕のまーくん。
第38章 綾野くん
綾side
所詮、高校生活も変わらない。
今までと……
中学からは、離れた所を受験して
合格したこの高校で。
春からは、変わりたいと思っていた。
見た目の暗さに加え、人見知りな性格も
あり小学校、中学校とほとんど仲のいい友達も
出来ずむしろ、いじめの対象になっていた俺は……
益々、暗くなっていく一方で。
……人が怖いと思う事もあった。
ただ、自分でいうのもあれなんだが、
やっとの思いで合格したこの高校には
きちんと通おうという思いはあった。
でも。
案の定、そんな簡単には自分を変える事は
出来ず……
新しい、知らない連中ばかりいるこのクラスにも
まだ馴染めずにいた。
そんな簡単にはいかないよな。
周りの連中は、楽しそうに笑ってる。
俺に話しかけてくれる奴は、ここでもいないんだ。
…………………………………………………………
一学期も、あっという間に過ぎていく頃。
ある日、それは突然に。
俺の今までの人生で、信じられない事件が起きた。
嫌いな、お昼の購買部。
今日も、余り物にさえありつけるかどうかの
厳しい現実。
一年の俺は、入っていくのもやっとの
混雑した昼の購買部で。
あの人に、運命の出会いを果たしたんだ。
先輩達や、同級生にさえぶつかられ、もみくちゃに
されながら、ようやく一個の別に好きでも何でも
ないようなパンに手を伸ばそうとした時。
その一個のパンさえ、目の前の奴にパッと横取り
されてしまった。
今日も、パンさえ買えないのか……と諦めかけた時。
振り返った、そいつがくるっとこっちを向いて
「はいっ!どーぞ」
って。
俺の手に、乗せてくれたんだ。
あまりにもビックリして
顔を上げて見るとその人は……
俺が今まで見た事もないような、笑顔で……
まるで、目の前のそこにだけ眩しいくらいの光が
当たってるかのような、そんな笑顔で。
……もし、いるのなら太陽の神様かと思うような強烈に明るい笑顔で……
知らない俺に笑いかけてくれたんだ。
