
僕のまーくん。
第38章 綾野くん
……誰!?
渡されたパンを持ったまんま、俺は
目の前にいたこの人に釘付けになっていた。
俺とあんまり、変わらない背丈で。
でも、ごちゃごちゃしている人混みの中を、その人は素早く出て行って見えなくなった。
渡されたパンの会計を急いで済ませて。
その人が歩いて行った方向を探したけれど、
もういなくなっていた。
音楽室に、いつものように向かう。
誰も来ないし、一人でゆっくり食べれるから
この場所が俺は、大好きだった。
ピアノも弾けるし。
でも、今日は。
大好きなピアノを前にしても……
上手く弾く事が出来なかった。
胸がドキドキしていた。
さっきの、出来事を目の前に置いてた
パンを見ながら思い出す。
太陽の神様のあの綺麗な笑顔を。
胸が熱い。
顔も。
俺、どうしたんだろう。
あの知らない人の顔が、ずっとずっと
離れない。
誰なの?
先輩?
それとも、同級生?
なんにしても……
また、会いたい!!
明日も、あそこに行けば会えるかな?
