僕のまーくん。
第9章 翔ちゃんとかずくん
「なんか、すごい声聞こえたけど……」
かずくんが訝しげに聞いてくる。
「あっ!翔ちゃんがさ、なんか変なこと言うからさっ」
慌てる僕。じっと見つめてくるかずくん。
「あの人……なんか……苦手かも……」
ボソッと言ったかずくんに驚いて
「えっ!?なっ、なんで?かずくんっ!」
「別に……」
かずくんが、ちょっと素っ気なく答えた。
そういえば、さっきの態度もかずくん、ちょっとおかしかったよね?
「かずくん、翔ちゃんのこと、なんで苦手なの?」
………………………………。
返事をしないかずくん。
ん?ってかずくんの顔を覗きこんだ。
「あの人……なんかいっつもニヤニヤして僕らの事見てるし……」
えっ!?何それ?そんなの、気付かなかったよ!
でも、ニヤニヤって……
翔ちゃん……
なんか、かずくんに勘違いされてますよ……
「初めて会った時も、色々失礼なこと言ってた」
「あー、確かにアレは……翔ちゃん悪ふざけがちょっと過ぎたよね。ごめんね。かずくん。」
僕らが、キスしたきっかけみたいなのを作ってくれたのも、思えば翔ちゃんが変なこと言うから、かずくん引っ張ってって…………って流れだったよなぁ
なんて、回想しながらかずくんを見ると
まだ、素っ気ない態度で……
「今日は帰るよ」
って、もう靴を履こうとしてるし。
「あっ、かずくん、ちょっと待って!えと、えっとさ、夏休みまだ長いし……また遊ぼう🎵出来るだけいっぱい会いたいし❤」
靴を履きながら聞いてたかずくん。
僕を見上げながら、ちょっと微笑んで……さっきより少し柔らかい雰囲気になった。
「うん。またラインするねっ」
そう言ってからかずくんはちょっと間を置いて
「…………あの人とも夏休み会うの?」
はい?あの人?……誰?
「えっ、誰?」
僕が聞き返すと、
「まーくんの友達ッ!」
って、ちょっと声のボリューム上げてかずくんが一言放った。
「あっ!……翔ちゃん?」
返事はしないで、首を縦に振るだけのかずくん。
「あ~、うん……遊ぶ約束はしたよっ!」
としか…………まだ言えないしな。