好きにしていいよ
第1章 初顔合わせ
「お疲れさまで~す」
「今日の悠さん!めちゃ可愛かったですよ!!」
「どうも、ありがとう」
柏木 悠(20歳)
俺はゲイ専門のAV男優で、高校を卒業してこの世界に飛び込んだ。
自分の性癖に気付いたのは、中学生の頃だったと思う。
男しか愛せない自分に、葛藤もあったし悩んだ時期もあった。
でもって、高校時代に好きになった人はひとつ年上の先輩。
告白したら見事に振られ、現在に至るわけだ。
「明日のスケジュールだけど、その前に黒谷敦史て知ってるかな??」
「まだ会ったことはないんでんですけど、名前くらいなら…」
その黒谷敦史て男は業界内でもかなり有名で、
しかもネコなら、一度は抱かれてみたいというカリスマ的な存在の人物だ。
「どうしてですか?」
その黒谷敦史と俺は、同じ業界にいながらも全く接点がない。
何故彼の名前がでてくるのか、不思議なくらいだ。
「その黒谷さんから、直々に指名がきた。お前とやってみたいそうだ」
良かったなあなんて、
マネージャーさんが俺の頭をポンポンと撫でる。
ちょっと嬉しいかも…
「じゃあ、これに目通しておいおいて」
マネージャーさんから台本を受け取ると、パラパラとページを捲っていく。
どうして…
痴漢電車!
変態男に感じちゃうなんて
僕て淫乱なのかも!!
…なんて安易なタイトル。
どうやら、俺は高校生の役らしい…
「黒谷敦史か…良い男だな…」
潜在写真で見る限り、確かに黒谷敦史はイケメンだった。
均整の取れたバランスの良いスタイル。
俺は…
明日、この男に抱かれるんだ………
.