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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ

第2章 マグカップ

《said コータ》


寂しいという理由だけで
一緒に過ごしても

そんな時間は
消えて無くなる


それでもいいと
思っていても

喪失感は
簡単には拭えない



その気持ちを
俺が味わうことに
なるかもしれない



そんな理由で?



寂しくて
悲しくて
辛くて…

しかも翔輝さんは週末で
明日会社は休みだろう


そんな日に
部屋に一人で帰るなんて
絶対に嫌なはず


その証拠に翔輝さんは
「帰る」と
まだ一言も言ってない


それなのに
俺が悲しい思いを
するかもしれないって
俺を気遣うなんて…



「そうですね。

同じ気持ちになるかもしれません」



「………」


そう言うと
翔輝さんは
俺から視線を外したまま
少しうつむいた


悲しそうな顔


1人になりたくないけど
そうは言えない
って顔だ


「けど

ならないかも
しれません。

そんな
分からないこと
気にする必要ないです。

俺は
翔輝さんと居たいです。

まだまだ
帰りたくないです。

できれば朝まで
いや、明後日
翔輝さんが
出勤するまででも
一緒にいたいです」


「なんでだよ…」


「やられました」


「何に」



「同じ気持ちになるかも
しれないなんて言う
優しいとことか

手軽にヤレるかもしれないのに
やろうとしないとことか

甘えたいくせに
全然甘えてくれなくて
焦ったくなるとことか

なんでか
分かんないけど

すげー気に入って
どうしようもないです」



「コータ…」



「分かります。

俺はすげー歳下だし
学生だし
なんだか知らない男だし
そんな急に告られても
困るだろうし

だから


飲み友達でもいいから
一緒に居て下さい」



「………」



「こんな翔輝さんを
俺は一人にさせられません」



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