心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第2章 マグカップ
そこまで言うと
翔輝さんは
口元に手の甲を当てながら
頰を緩めた
…可愛い…
そんな仕草するんだ…
「正直…帰りたくはないよ」
「よかった…」
「だけど…」
「……」
「コータのことを
どう思ってるかなんて
今は考える余裕もない。
今だって
頭に向井さんの顔が浮かぶし
そんな俺が
他の男と一緒にいて
いいのか?って
思ったりもしてるんだ。
だから
こんな俺と居たら」
「ガチガチですね」
「え?」
「思った通りにすればいいんです。
今、帰りたくなかったら
帰らない。
俺と居てもいいと思うなら
そうする。
ラーメン食いたければ
ラーメンを食う。
ホテルに行きたかったら
行けばいい。
泣きたいなら
泣けばいいし
笑いたければ
お笑いのDVDでも
見ればいい。
どうしたいんですか?
翔輝さん」
「……」
しばらく考え込んだあと
翔輝さんは
やっと俺に答えを出してくれた
「家にある
向井さんのために買った
マグカップを
捨てたい」
「……わかりました」
「それから…」
「うん」
「お笑いのDVDを見たい。
コータと一緒に」
「ホテルじゃなくていいんですか?」
「クスッ
それは…やめとくよ(笑)」
「残念(笑)」