心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第2章 マグカップ
《said コータ》
「キスしたいって」
図星だったのか
そう言うと
翔輝さんは一瞬
目を丸くして
手の甲で口元を隠した
本当に
可愛い癖
俺はゆっくりと
その手をどけて
翔輝さんに
優しく触れるようなキスをした
可愛い…
甘えたいのに
甘えるのが下手
もしかしたら
経験が少ないのかもしれない
俺は
恥ずかしそうに
目をそらす翔輝さんの
顎を軽く押し
わずかに開いた唇の間に
舌先を差し込むと
翔輝さんの
濡れた舌が
俺を迎えいれた
あぁ…たまらない
ずっと好きだったんだ
いつも
いつも
切なそうな顔をしてる
翔輝が
気になってた
ため息をつきながら
slowの扉を
閉めたり開けたりするのを
何度も見ていた
だから
ずっと思ってたんだ
俺が
笑顔にさせてやれるなら…って
「っ……ん…」
キスをやめると
翔輝さんはまた
少し目をそらしながら
手の甲で
口元を隠した
「すみません。
飲み友達なのに
我慢できませんでした」
「いや…いいんだ」
「いいんですか?」
「え?」
クスッ
驚く顔が
本当に可愛い
「大丈夫です。
今日はもう止めときます。
でも
目が覚めたら
また
おはようのキス
してもいいですか?」
「聞くなよそんなこと」
「じゃあ勝手にしますね(笑)」
「えっ」
「もう寝ましょう」
「あ、あぁ…うん」
「あ、お願いが
ひとつあります」
「な、なに?」
「寝苦しいから
ジーンズだけ脱いでいいですか?
パンツは脱ぎませんから」
「あ…うん」
(笑)