心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
岸本洸太が
俺を連れて行ったのは
隠れ家的なバー
広尾の天現寺にある
スイーツも食べられるという
ちょっと洒落た店をだった
店は広く
奥に行けば行くほど
店内は暗くなる
店の入り口は
女の子がカジュアルに
ケーキを食べていたが
店の奥は
シックで落ち着いた雰囲気で
椅子ではなく
ソファが置かれてあった
岸本は常連のようで
店員と話しをしながら
俺を一番奥のソファへ
座らせた
そのソファは
三人掛けくらいのソファで
目の前にはローテーブルがひとつ。
対面は壁になっていて
他に岸本が座れるソファはない。
俺が少し端に寄って
ソファに腰掛けると
岸本は
「隣、座ります」
と、俺に声をかけ
少し離れて浅く腰を下ろした
慣れた感じ
高そうな店
大人っぽい店内
学生でバイトなのに
随分羽振りがいいな…
岸本に
好印象を抱いていた俺は
少しがっかりしながら
ビールを頼んだ