心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
岸本洸太もビールを頼み
店員が運んでくると
なんとなく
ぎこちない雰囲気で
俺と岸本は乾杯をした
「よくこの店来るのか?」
「たまになんですけど」
「いい雰囲気の店だね」
「ありがとうございます。
店長にそう伝えておきます」
「店長?」
「はい。
店員は…チェンジの
常連さんで
…仲間なんです」
「あぁ…」
ゲイってことか。
「それで良くしてもらってるんです。
じゃないと
こんなところ来られません(笑)」
そうだったのか…。
はじめて笑った
岸本洸太の笑顔は
この店が全く似合わない
なんとも爽やかで
人の良さそうな感じだった
「チェンジはどのくらい?」
「もう3年くらいです」
「それでか…」
「え?」
「リードもスマートで
しっかりしてる感じだったから」
「そんなことないです!
もう…いっぱいいっぱいで…
これ以上頑張れません(苦笑)」
「クスッ(笑)
そうか、じゃあ
頑張らなくていいよ」
年上の俺に合わせて
頑張ってくれたんだと思うと
それはそれで
嬉しかった
「でも…マサシさんに
ガキって思われたくないから」
「どうして?」
「マサシさんは
年上の人がタイプなんですよね?」
「そういう訳じゃ…」
司さんのことを
言ってるんだろう。
オネェから話を聞いてるのかもしれないし
チェンジとslowは
店も近くて客層も同じ。
俺と司さんを見たことが
あるのかもしれない。
「俺、マサシさんタイプだから」