君はぼくの全て
第12章 補習 2
頑張って笑顔を作ってるけど、無理してるのはすぐに分かる
隣にいる智がまーくんに何か言って、背中を叩いた
多分、いや間違いなく激励
…こればかりは、同じ境遇にいないと分からないものがある
うん、分かってるもん
俺はそこには入り込めない
バスケの世界は、まーくんの世界だって
俺に出来るのは応援する事だけ
…何でかな
まーくんが試合に出るの嬉しいのに、嬉しい筈なのに
何か胸がチクチクする
「潤くん、ちょっと外行ってくる」
「え、だってもう、試合始ま……ーー」
驚いた顔の潤くんを残して、俺は逃げるように外に走り出した
試合が見たくない訳じゃない
まーくんの姿は見逃したくない
だけど
コートの横にある部員の応援席で、松葉杖を持って座る池田くんの姿が目に入った時
何ともいたたまれない気持ちになっちゃったんだ
「おい、にの!」
逃げ出したけど、外のベンチに座ってたからかあっさり潤くんに見つかった
「潤くん」
「…見ないのかよ」
そう聞くくせに、隣に座ったのは答えを分かってるからだよね