テキストサイズ

BLUE MOON

第3章 鼓動


「…ハァ…ハァ…」

乱れた呼吸と

ドクンッ…ドクンッ…

大きな鼓動が混ざって耳に届く。

「大丈夫?」

少し掠れた優しい声に私は頷くことしか出来なかった。

私を包み込む逞しい腕、大きな胸

「モモ…」

ぬくもりを感じながらこの人に抱かれたんだと、彼のモノになったんだと実感する。

優しかった

触れる指先も唇も

思い出すだけで胸の奥がまたドキンっと音を立てる。

「涼さ…」

その音を聴かれたくなくて私は彼の背中に腕を回した。

「可愛い」

涼さんはそんな私の髪にキスを落としながら引き寄せた。

「夢見てるみたいだ」

「涼さんが?」

「あぁ、ずっとこうしたかったから」

お付き合いをはじめて2ヶ月たったぐらい。

こんなに幸せな気持ちになるならもっと早くても良かったかもしれない。

「一緒に暮らしたら毎日この柔肌に触れられるんだな」

「ま、毎日ですか?」

「今日はモモのためを思ってかなりセーブしたからな」

「あ、あれでですか?!」

余韻に浸る私にとんでもないことを言い出した涼さんの顔を勢いよく見上げると

「更なる覚悟を願います」

「そんな…」

微笑んで私を困らせる。

まだ私の腰や脚はガクガクして誰かのを借りてきたみたいに重いのに

「大丈夫、しっかり俺仕様にするから」

「無理です…体が持ちませんよ…」

先が思いやられる…なんて思ったらバチが当たるかな。

私は言葉とは反対に彼の胸にキスをする。

「…ったく」

涼さんは小さな溜め息を吐くと私を抱き寄せて

「忙しすぎて帰ってこれない日もあると思う」

それは幼い子供に言い聞かせるようで

「辛くて寂しい思いをさせる日がたくさんあるかもしれない」

これから二人でいるための覚悟を決めさせるようで

「でも、必ずここに帰ってくるから待っててほしい」

それなのに紡がれた言葉には確かな愛が溢れていた。

「大丈夫です。涼さんは今まで通りお仕事頑張ってください」

だから私は笑っていられる。

「ねぇモモ」

「はぃ?」

「…やっぱりいいや」

「ズルいです。言ってくれないと気持ち悪いです」

私より8つ年上の彼が紡ぐ言葉は

「じゃ、断るのはナシだよ?」

「はぃ?」

甘いんじゃなく

「もう一回シたい」

「はぃ~?」

「いただき~」

「キャッ!」

大甘に甘いらしい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ