オキナグサ
第6章 違和感
そんな時に、同性愛者専用の出会い系サイトの存在を知った
きっかけは何だったか
そうだ
電車の中で近くにいた男性が話していたんだ
「この前さぁ、出会い系サイト見てたらゲイばっかのとこ見ちゃったんだよね」
「まじかよ? キモ!」
ぎゃははは、と下品な笑いを響かせている彼らの話はそれ以降あそこはゲイバーが多いだのあそこのホテルは同性でも泊まれるだのと話題も下品な方に移っていく
しかし俺に衝撃を与えるにはそれで十分だった
ネット上に仲間がいる
そして通勤圏内という近さにも、仲間がいる
感動すら覚えて、家に帰ってから早速サイトを探してみたんだ
入り組んだ検索とか
そんなもの必要ないくらいあっさりと見つかったサイトに登録して、慣れていそうなミホという名前にメッセージを送ったのも特に考えはなく
会う直前には異様なまでに心臓が高鳴っていた
初めての、同性愛者
待ち合わせ場所で本人を見た時
単純に
すごい
本当にいる
と自分が呼び出しておいておかしなことを考えていた
食事代を少しは出そうかと言われた
堅い話し方は疲れるだろうと気を使われた
相手がちゃんと人間で
俺をゲイだと責め立てない
そんな単純なことに、いちいち感動していた