オキナグサ
第6章 違和感
若く見えたミホさんは、言葉遣いは見た目よりも少し大人びていたが
「美味しい! こんなの食べたことない」
と予約した店の食事を称賛しながら食べる姿は大学生ぐらいの普通の男の子に見えた
それなのに
「抵抗は……うーん……なかった、かな。人と違うことが、俺は悪いことだと思ったことはないから」
考えは俺なんかよりもずっと大人びていて
言葉の1つ1つが俺の胸にすとん、と小気味のいい音を立てながら落ちてきた
それから初めての男同士でのセックス
驚くほどに気持ちよくて
気がついたら朝だった
時間に余裕はあったが、どんな顔をして顔を合わせたらいいのかわからず置き手紙だけを置いて逃げた
「はぁ……っ」
人の少ない電車に揺られながら昨日のことを思い出すと、自然にため息が出る
気持ちよかった
ただただ気持ちよくて
まだ足元がふわふわと浮いているみたいだ
少し意識の仕方を間違えれば下半身が疼くような感じがして
だめだ
首を振って霧散させたりした
出会い系サイトの一夜限りの人間に
また会いたいなんて、ダメなんだろうか
それともこの気持ちは、初めてだったからこその特別感に酔いしれてるだけのものなんだろうか