
オキナグサ
第2章 お礼
地面でピクピクしてる豚を尻目に
「これ以上相手するの面倒くさいから、行こう」
とアサヒさんに声をかけた
「あ……」
アサヒさんも放心状態ながら、俺について歩き出す
「くそ……!!! 覚えてろよ!!! クソガキ!!!!」
負け豚が遠吠えしてる
ていうかさっきから岩橋商事ってなんで覚えがあったのかなって思ってたけど
そうだ
思い出した
「しっかり覚えておいて、村尾専務に報告しておくね、高橋部長さん」
「!? むら、お……っ、ま、待ってくれ……!!!」
前にバーで会ったあの人
専務取締役とか言ってたな
名刺貰ったんだった
確か
あの人はいいドMだった
ナイスミドルな顔がドロドロに蕩けきって腰振ってるところは本当、最高
最近ご無沙汰だから
今度誘ってみよう
「アサヒさん、そろそろ落ち着いた? 帰りどっち?」
駅? それとも繁華街の方?
あのラブホ街から離れた公園で立ち止まって聞くと、それまで放心状態だったアサヒさんは漸く実感が湧いて来たみたいで
「あ……っ、え、と……っ」
ぽろぽろ涙を流した
あぁぁぁ……
もう
しょうがないな
「ちょっとだけ待ってて、飲み物買ってくる」
