
オキナグサ
第2章 お礼
近くの自販機に走った俺は、適当に飲み物を2つ買ってアサヒさんのところに戻る
俺は自分が泣かしたんじゃない涙は苦手なんだよ
怖いとか
全然理解してあげられないし
「そこのベンチ座って。ほら、飲み物飲もう?」
「……っく、ひ……っ、あり、がとう……」
はいはい
飲み物の蓋を開けてから渡して、飲ませながら背中を摩る
今こんなことしてる俺は、本当ならガチムチ系とセックスしてた予定だったなんて
はぁ
ツいてないな
それから5分……いや、10分ぐらいグズるアサヒさんの背中を摩りながら宥めた
少し落ち着くと、誰かに聞いて欲しかったのか事情を説明するべきだと思ったのか、アサヒさんはぽつぽつ話し出した
「今日、会社の……接待、の……のみかい、で……っ」
「うん」
まだ背中ブルブル震えてるんだから、無理に喋ろうとしなくてもいいのに
「あの、ひと……っ、取引先の、人で……、駅まで、送って、くれるって……そう、言ってた、のに……っひ、ぐ……」
えー……
接待の飲み会で送り狼(ゲイ)とかあるのか
怖い世の中だなぁ
「アサヒさん綺麗な顔してるから、仕方ないね」
