オキナグサ
第3章 素敵なホテル
「おい、美穂川スマホのバイブ消せねーの?」
金曜日いつも通り講義を受ける俺の隣にいる佐倉が俺を小突いた
「んん……どうやるんだっけ?」
「俺がやるか?」
「いや、大丈夫……………これか」
あんまりバイブまで切ることないんだけど
今日はぼーっとしてたらスマホをカバンに入れるの忘れちゃったんだよね
にしてもやっぱり金曜日はサイトからの連絡がうるさいな
明日休みの人が多いから、みんな遊びたいんだよね
「ったく……教授に俺まで睨まれたらどうすんだよ」
「ごめんごめん」
俺がやろうかって申し出は有り難いけど、こんな見ず知らずの人から来るメッセージのお知らせだらけのスマホは見せられないから
操作方法ぐらいちゃんと覚えておかないと
「つーか、すげー連絡来てんな?」
大きい教室の後ろの方だからかもしれないけど、睨まれたらーとか言いながらも普通に話しかけてきてんじゃん
「んー……最近迷惑メールがすごくて?」
「変なサイトでAV見たりしてんの?」
「高校生じゃないんだから……」
「ははっ、流石にな」
わかってて言わないでよ
あと、佐倉の笑ってる声の方が先生から視線を貰っている気がする
俺まで睨まれたらどうするんだ