オキナグサ
第5章 お付き合い
最終的には俺から断るような形で、俺たちの付き合う上での条件提示は終わった
なんだこれ
これでいいのか、本当に
「じゃあ、これからよろしくな」
「うん」
握手までしてる
付き合う時ってこんなんだったっけ
あれ
もしかして俺バーで飲んだ酒の影響?
俺が酔ってる?
「あぁ、そうだ。ハンドルネームで呼び合うのもおかしいし、本名を聞いてもいいか?」
混乱してきた
けどもう
どうにでもなれ
「いいよ。俺は美穂川聖(ミホガワヒジリ)」
「みほがわ……なるほど、だからミホって名前だったのか」
「女の子みたいでしょ。でも名前じゃなくて名字なんだよね」
「俺のアサヒは本名で、加賀朝陽(カガアサヒ)がフルネーム」
名刺を貰ってしまった
別に初めてではないんだけど
ていうかやっぱり、前にホテルで書いてた書き置き本名だったんじゃん
危なっかしいなぁ
「改めてよろしく、美穂川さん」
ミホさんより遠くない?
「聖でいいよ」
「えぇと、じゃあ……聖くん?」
なんかむず痒い呼び方
明らかに年上のスーツの人に、聖くんなんて呼ばれるの初めてだ
「よろしくね、朝陽さん」