完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第11章 実周さんと財前さんのお話②
「は!?――――…社長が…神谷さんに?プロポーズ?!」
卓郎は髪を乾かしながら驚いた顔をした
「まだ、極秘だから誰にも言うなよ?」
「///えっ?そうなのか?…でも、神谷さんと社長って…できてたのかぁ…意外!」
風呂上がりの卓郎は口をポカ~ンとあけソファに座った
「卓郎…知らなかったの?一番近くにいたのに…室長失格だね」
「///うっ、たく…落ち込むからやめてくれ!」
少し気落ちした卓郎が可愛い――――…
と、40のおっさんに“かわいい”はないか?
――――…あの日から付き合うことにした俺と卓郎は仕事終わりに、互いのマンションを行来する関係となっていた…
休みが合えばお泊まりコースだが…今日はどうだろう?
俺は卓郎の隣に座り濡れた髪に手を伸ばす――――…
「卓郎?髪――――乾かしてやろうか?」
「ん?あ――――…あぁ」
卓郎はそっけなくタオルを頭から取ると俺に背を向けた
本来世話好きな俺と卓郎は互いの髪を乾かすのを好んでする…
今日は卓郎のマンションがだ…ドライヤーの場所だけでなく、調味料の場所まですでに把握している