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AV女優と結婚するということ嫁がAV女優になったということ。

第21章 尊。新しい一歩。

『…悪いか?それじゃ尊は納得しないのか?』

『俺はさ… 生まれた田舎が退屈で退屈で仕方なかったよ… …で、あても何にもないのに都会に出てきた。 その点では、ただのチンピラと同じだよ。』

『………………。』

『だけどさ、パインに拾われてAV業界で仕事してるうちにさ…。俺は俺なりに分かったんだよ。この仕事で救われてる人間もいるってこと……。それはさ…作品みてくれて寂しさを紛らす人たちもそうだし、それで生活してる俺たちもそうだよ…。 …カオルだって、自分の居場所ややりがいをこの仕事で知ったのは事実だと思うんだ…。そりや、世間からは見下されるような仕事でもね…。』

『……………………。』

『俺はさ、どんな仕事についている人間でも、幸せを求める権利はあるし、生きていく居場所を見つける権利はあるってさ…この仕事で教えてもらったんだよな…。…誰かを不幸にして生きるって生き方はダメだよ…尊…。』

『……………………。………甘いよ…健太さんは…。』

切れた唇で
尊は胸のうちから捻り出すように
呟いた…。

昔の記憶が浮かぶ…

母の最期…
あの無惨な最期…

弱ければいきれない…!
金がないと生き残れない…!
チカラがないと生き残れない!

利用すべきものは全部利用してやる…!

そして
女は稼ぐための
身体という最終兵器がある!

俺はそれを利用させてもらっただけだ!


『きれい事喋るな!』

尊は夜空に向かい叫んだ。

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