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『ちがうよ尊…。』

『何が違う！』

『きれい事ってお前は言うけど、それが人を豊かにするんだ！きれい事を真実にするために、人は人を愛して、思いやっていくんじゃないか。それを否定してしまったら、不幸は繰り返されるさ！復習からはなにも生まれない。』

健太は尊に
静かにしかし
強く伝えた…。


尊の脳裏に
忘れかけていた
母の言葉が浮かび上がった…


…………
『尊…。私は尊が大切だけど、母さんずっと尊と痛いけど…、あなたは父さんの代わりじゃないから、大人になったら、世のため人のために生きる優しい人になるんだよ。』
…………


それは
尊の父がなくなって間もない頃
母がよく尊にかけていた言葉だった…。



『………。健太さんの正論はヘドが出るけど…、なんか…俺。　　……もう一回ヘド吐いてでもそんな生き方したくなった…か…な。多分。』

尊は健太に背を向けてそう
答えた…。