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AV女優と結婚するということ嫁がAV女優になったということ。

第25章 2台のクルマ。五郎と美紀、尊と広臣…

もう1台のクルマが

五郎たちのクルマに
追い付くかのように
峠道にさしかかろうとしていた…。


こちらの助手席には
二川広臣が
申し訳なさげに無言で座っていた。


尊はそんな広臣に
二川志乃がなぜ
人妻AV女優を始めるつもりになったのか
その経緯を知る限り話した…。



『志乃ぉ……。寂しかったんだね…。俺はいったい何をしていたんだ?』
広臣は
涙を流しながらうつむく…。


あぁ
俺はバカだった…
確かに俺は金融マンとしてのプライドがあった
成果も上げ続けた。
同期でイチバン早く出世もした…。

それもこれも
志乃とタカシを幸せにしたいんだ!
それが確かに原点だった…。

でもなぜ?
どこから変質した?
どこから原点を見失った?


出世争いのストレスで
性欲もなくなり…
それでも俺を求めてきた志乃に
『ママになったらもう、ムラムラの対象ではなくなったよ…』
そんな言葉を投げ掛けて
俺自身の性欲の減退を隠そうとしてしまった。


あの時が
間違いだったんだ!!
せめて…
せめて頭を撫でて上げていたら…
せめて…
俺最近、勃起しにくくなってるんだ…

そう正直にいっていたら
志乃のことだ
頭のいいあいつのことだ
別の夫婦のあり方を一緒に
考えてくれていただろう…


ああ…
ごめんよ志乃…

今すぐ志乃を抱き締めたい!

志乃!!


『なあ…旦那さん! いろんな修羅場をくぐって夫婦ってのは生きてくんじゃないの?あんたが諦めない限り… やり直せるって思うよ…。』


尊は
柄にもなく人を心から励ました自分に
少し戸惑いながら
クルマで峠道をすり抜けていった…。


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