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『そういうことだったの…。』

真由子はそう呟いた。


『で…。美紀さんは今、八重樫さんがどこにいるのかは？』
と真由子の夫
翔太が尋ねた。

『分からないわ。突然、退院して、それきり…。黒光さんを介して、健太さんにも尋ねたけど、あれ以来音信不通だって…。』
そう美紀は答えた。



『母さん！引き受けなよ！！…かっこいいじゃん！シネマデビューだぜ！　…五郎さんには世話になったし、それが五郎さんの夢だったんなら、今、どこにいるかわからないけど、五郎さんが母さんを守ってくれたみたいに、今度はお返しだよ！もう10年以上の時間がたったけどさ…。…それでもお礼しなきゃ！』
息子の優が真由子の肩を
ポンと押すような言葉を発した。


『俺も…　…ちょっと見てみたいな…。…その…お前の須賀田をスクリーンで…。あ！でも1回だけだぞっ。　…あんまり人気出たら、俺は寂しいからな…。』
ほんの少しのヤキモチと心配を
漂わせつつ
翔太も真由子の肩をさらに
ポンと叩くような
後押しの言葉を口にした…。


『いいのかな私…。また、朝倉マコ発見！みたいな話題が出たら…。優とあなたに迷惑が…』


『迷惑なんて、家族どうしでしかかけあえないから！』
優と翔太がほぼ同時に同じ言葉を発した。


『ウフッ…！ほんとに、この家族は仲良しだなぁ…。じゃあ決定でいいわね。』
美紀は
微笑みながら
高梨家の3人を見つめた。