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好きにさせて

第2章 二人


「おっちゃん
神町まで行って一人おろして
それから・・もうちょい先までお願いします」


「はい毎度」


タクシーのおっちゃんは
茜の家をもう知ってるみたいで
詳しく何も聞かないまま
車を走らせた


「あ、せや」


「ん?」


「来週は日曜来られへんねん」


「いいよ、いつも来てくれて
ありがたいけど
お財布大丈夫?」


「小夜に行かへんかっても
どっかに食べに行くんやから
心配せんでもええんや。
後輩にたかられるより安いしな。
あ、来週は出張やねん。
日曜に移動でな」


「出張、よくあるの?」


「せやな・・
転勤なくなった代わりに
ちょいちょいあるなぁ」


「お仕事だから
大変なんだろうけど・・」


「ん?」


「色んな所に行くの
ちょっとうらやましいな」


ほな

どっか連れてったろか?


茜とやったら
いつでも

・・どこにでも


「旅行とか行かへんのか?」


「うん・・」


その話は
終わりにしたいのか
ふんわりした返事をしながら
茜は窓の外に
視線を向けてしまった



そして
それから数分後


タクシーは

懐かしい
茜の実家に到着した

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