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好きにさせて

第16章 現実

said 親父


「尚樹」


「ん?」


「あいつと考えたんやけどな」


「なんや」


「墓のことなんやけど」


「…うん」


尚樹は
『墓』という言葉に
顔色を変えた

やっぱり
気にしてんねやな…


「正直、今までよう考えたことなかったし
ぼんやりと
お前が嫁さんもろうて
墓もみてくれるんやろうて
思うてたんや」


「…せやろな」


「けどそれは
おかしな話やと
思いだしたんや」


「え?」


「わしはわし
お前はお前や。
わしらはわしらで
墓どうするか
自分で考えなあかんねん。
散骨してもええし
墓建てて
寺に永代供養してもろてもええ。
それは
わしと母ちゃんが決めることや。

お前が
気にすることやない」


尚樹は
考えもしてなかったことなんか
俺の言葉に
言葉を失った


「その代わり
お前もよう考えなあかんで?

あの子と一緒になるんやったら
わしらと同じようになんねんから

それと…」


「なんや」


「うちはそういう考えやけど
あっちの家はどうすんのかも
よう聞いて…」


「うん」


「尚樹」


「ん?」


「ほんまにええんか?」


「何がや」


「色々や」


「ええから
連れて来てんねん」


「そぉか」


「反対されたら
結婚する気はないで」


「はぁ?」


「せやけど別れへんで」


「なんや脅しか(笑)」



「まぁな(笑)

正直、どう思うてんねん」



「せやなぁ…

まぁ
お前が一生独身よりは
全然ええし
子供がおらん夫婦も
珍しないけど

まぁ…心配やのう

それだけや」

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