好きにさせて
第4章 約束
今日の茜は
ふんわりした髪を下ろし
淡い色のトップスに
控えめなネックレスをしていた
乾杯する時に見えた
細い小指には
小さな小さな
指輪がキラキラしていて
可愛いらしい
小夜で働いている雰囲気とは
全く違う感じに
俺は胸を躍らせた
それに
今日の茜は
なんやいいことでもあったのか
よく笑う
こっちまで
つられて笑顔に
なってしまう感じで
そんな俺達は
食事をしていても
話しが途切れることがなかった
「なぁ、茜」
「ん?」
「なんや楽しそうやなぁ。
なんかええことでも
あったんか?」
「ん〜〜…うん、あった」
「クスッ(笑)そうか」
なんとも無邪気な表情で
俺は
中三の頃を思い出し
つい笑ってしまった
「ん?」
「いや、なんでもない。
ええことってなんやそれ。
聞いてもええか?」
「いいよ。
でも…」
「ん?」
「上手く言えないかも」
「俺が解読したるわ」
甘え下手な茜を観察して
俺はいっつも
心の中でお前を解読してたんや
「あのね…」
何かを考えてる時や思い出す時の仕草
変わってないなぁ(笑)
「野崎くんとの距離をつかめたから
だから…楽になったの」