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好きにさせて

第4章 約束




「あ~腹いっぱいになったなぁ」


「うん、美味しかったね」


「ほな・・そろそろ帰るか?」


「・あ・・・そうだね」


茜の返事が
少し遅れてたのは
俺が帰ると言い出したのが
予想以上に早かったことと
俺が次の店を
誘わんかったからやろう

ほんまは
まだ返さへんけどな


「タクシー、この先でひろえるよな?」


「うん、向こうの通りなら
すぐに拾えると思うよ」


「ほな、出よか」


「うん」


茜は
なんでもない感じで
俺の質問に答えてたけど
まだ帰りたくないという気持ちを
言えないでいる感じや

多分
俺に迷惑をかけたらあかん
思うてるんやろうなぁ

茜は昔から
そういうやつやった

そんで俺は
そんな茜を見てると
なんやちょっかい
出したなるんやったなぁ(笑)


店を出ると
そんなことを思い出しながら
タクシーが拾える通りまで
ゆっくりと歩いた


「なぁ、茜」


「ん?」


「このままほんまに
帰ってもえぇか?」


「え?」


「まだ帰りたなかったら
帰らんでもかまへんで」


「あ、ううん。
もう・・お腹いっぱいだし」


「ほんまか?」


何かを誤魔化すその瞬間に
視線を外す癖は相変わらず


「ほんとよ?」


「ほんまにほんまか?」


「ほんまだって(笑)」


「茜?」


「ん?」


「こっち見いや」


「やだ、なんで?(笑)」


茜は
俺の方を見ないまま
ふわりとした髪で顔を隠し
俺の隣を歩いた


「ほんまのこと言え」


「言ってるってば」


「わかった。
ほな俺もほんまのこと言うわ」


「・・え?」

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