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桜花楼の恋

第1章 始めの一歩

・北山side

郭の中へ入ると、俺は旦那さまがいるとかいう部屋へ連れて行かれた。

それにしても、あの陰からこっそり見ていたガキは誰なんで?

年の頃なら13か14、なんでこんな所にあんなガキがいるんだわ?

あいつも売られてしまったのか。



番頭「ほら挨拶をしろ」

北「キッ」

旦那「いい眼をしている」

番頭「すいやせん生意気な奴で」

旦那「いやいい、フッ」

番頭「で、どうします?」

旦那「実は今度お忍びである方の御子息が来られることになっているんだが」

番頭「どういうお方で?」

旦那「それは言えん」

番頭「金にはなると?」

旦那「あぁ、なんでもおなごに全く興味を示さず困っているそうだ」

番頭「それで男娼をあてがってみようと考えたわけですな」

旦那「相手が男であれ情交さえさせれば女とも出来るようになるのではないか?そういう事らしい」



ってか、なんの話しをしているんでこいつら?



番頭「じゃあ、その時に」

旦那「選ばれたら凄いことになるぞイロにでもして貰えたら瞬く間に太夫だ」

番頭「そのうえ遊郭1の」

旦那「うちの郭にも迫がつくってもん」

番頭「上手く行けば、しかしこいつ態度がちょっと」

旦那「いや、だからいい」

番頭「えっ」

旦那「返ってよい結果を生むかもしれない」

番頭「はぁ」

旦那「下手すりゃ莫大な金が手に入る」



言っている意味が全く分からないわ。



旦那「いらっしゃるまでにはまだ日がある、それまで戸塚太夫のもと行儀や作法を学ばせておけ」

番頭「承知しやした、ほら立て行くぞ」



今度はどこへ行くっていうんで?



番頭「今日からここがお前の部屋だ宏光」



そこは6畳ほどの和室で壁には丸い形の障子があり、なんとも妖しい雰囲気を醸し出していた。



番頭「取り合えずはだが隣にいるのはうちの郭一番の人気太夫 祥太まぁいろいろと教えて貰え」



あぁ、さっき話してた奴か。



番頭「あとで引き合わせてやるが今は河合の若旦那が来ているから頃合いを見計らい俺が声をかけるまでそこで待っていろ」



はいはい、フッ




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