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桜花楼の恋

第1章 始めの一歩

・北山side

貧乏には慣れている、どんなに大変でも兄弟みんなで仲良く暮らして行ければ俺は、それでいいと思っていた。

しかし、この年の冬の寒波は厳しく農作物は上手く育たなくてよ。



龍也「兄ちゃんお腹がすいたぁ」

北「ごめんな、もう米ねんだ」

瑞希「これ食べれるかな」

北「バカ駄目だ、んなもん食っちゃ」

瑞希「ふっ、ふぇーん」

北「くっ」



生活は限界にまで達し。



源太「どうだ決心はついたか」



そんな俺んちへ毎日のようにやって来るこの男、名は源太。



源太「お前くらいの器量なら高く売れる」



いわゆる女衒(ぜげん)って奴で。



源太「なぁーにこいつらの事なら心配はいらね良いとこの店(たな)へ奉公に出せば飯もたんと食わせて貰えるってもんだ」



普通は、女を遊女屋へ売り飛ばすことを生業にしている連中のことを言うがこいつは違う。

江戸、吉原や京の都といろんなところにある遊郭とは別にこの時代には。



源太「だから、なっ?そろそろ色好い返事を聞かせてはくれないか」



男が身を売る場所、男娼が集められている郭があった



源太「いいだろ」



何も性の捌け口は女ばかりじゃないって事だ、抱きに来る連中はみな男にしか興味がない金持ち又は。

どちらでも出来さえすればいいって奴らばかりでよ。



源太「分かっているだろうがお前の親父が残した借金そうでもしなければ返せないぜ」



まっ、遊女宿に売られてしまうのと同じ意味を持つってことさ。



源太「こんな状態でこいつらを育てて行けんの無理だろ飢え死にするのがおちだ」



分かっている、んなこと言われなくとも。



源太「俺に任せとけ悪いようにはせん」



でも、こいつらまだ8つと5つなんだぜ。



源太「今日はいい話を持って来てやった」



肉親の愛情を一番必要な時に俺と離れてしまったらどうなるんで?クッ

が、そんなある日。



源太「実はある大店の旦那が跡継ぎがいないし瑞希を養子にしてもいいと言っているんだ」



なっ、源太の言葉に。



源太「そこに龍也も住まわせ仕事を覚えたら先々は番頭として2人に店を任せてもいいとまで」



って事は、こいつら一緒に。



源太「これでお前も心置きなく仕事ができ借金も返せ一石二鳥ってもんだろ」




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