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桜花楼の恋

第18章 いざ尾張へ

そして、北山の評判はどんどん上がって行き絵にまで描かれるようになり。

身体は決して安売りしない。

だけど、どんな話にも耳を傾け例えそれが愚痴だったとしても。

郭を出る頃には笑顔となり客は帰って行く。

そうさせてくれる桜花楼の太夫には、ただ一筋に想っている人がいるらしい。

だから自分たちの気持ちも分かってくれるんだと、噂が風の如く広がって。



戸「身請け運動?」

河「あんな所に閉じ込めておいちゃいけない誰が言い出したんだか、フッ」

戸「へぇ」



世間って不思議、偏見な眼で見ていたかと思ったら一転し助け出したいだなんてさ。

でも、それだけみんな何かに飢えているのかもしれないね。

想い合う気持ち愛情とか、そんなある日の事だった。



河「きっ、来たあぁーっ」



加賀の若君から、動く時期が来たとの文が届いたのは。



河「トッツー」

戸「河合、ニコッ」

河「よーし、いっちょうやるか」

橋「うん」

五「張り切りすぎて墓穴を掘るなよ郁人、クスッ」

河「大丈夫だって、フッ」



同じ頃、桜花楼でも。



旦那「準備は整っています後は加賀の若君が迎えに来られるのを待つのみ」

横「よし、フッ」

旦那「先様、宏光には?」

横「俺から話す、ニコッ」

旦那「では宜しくお願い致します」



そして数日後、俺達は藤ヶ谷が待つ尾張へと旅立つ事になる。

そこに全てを託し…




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