テキストサイズ

桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

亀「嫁を貰ったのは以前から進められていた縁談があって」



聞けただけで俺は、満足さ。



亀「自分の立場はよく分かっていたけれど、どうしても踏み切れなくて」



心底、そう思う。



亀「お前に出会って決めた、フッ」

ニ「俺に?」

亀「正確には、お前たちにだけど」

ニ「‥‥‥」

亀「マジ羨ましいよ心は自由なんだから」



心が自由?



亀「惚れた奴を好きと言える俺にはそんな相手も誰かをそこまで想ったことすらなかった」



亀梨くん…



亀「けど今は、フッ」

ニ「‥‥っ」

亀「二階堂お前がいる」

ニ「なっ」

亀「だから、この気持ちさえあれば嫁を貰っても大事にしてやれる、そう思ったんだ、ニコッ」



なぜ?



亀「人を好きになった事もない奴が誰かを幸せにできるわけないだろ」



つまり俺の存在が…



亀「交換条件として北山を加賀の養子にしてくれるように頼んだ」

ニ「ミツを」

亀「俺の父上は男色の気質があってね」



うっそ!?



亀「が、国のために自分の想いを犠牲にする形で母上を娶り俺が生まれたってわけ」



へぇー驚いたなぁ。



亀「言ってみれば太輔の気持ちが一番よく分かる人なんだろうな、フッ」



なるほどね。



亀「で、俺のほうはせめて嫁くらい自分で選びたいとずっと拒んでいて」

ニ「その姫君、好みじゃなかったわけ?」

亀「いや、それ以前の問題」

ニ「んっ?」

亀「父上の惚れている人の娘だったから、フッ」

ニ「はっ?」

亀「お互い大名の跡継ぎ叶わぬ恋に身を焦がし2人は約束を交わした」



数年後…



亀「自分たちの子を添わせようと、そんなんで一生の妻を決められるなんてさすがの俺も反抗するだろ」



確かに。



亀「けどお前ら見ていたら自分がその姫君を幸せにしてやらなければ、そう思えて来たんだから不思議だよ」



そういうこと。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ