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蜜蜂オヤジ。

第17章 懐かしい昔と狂気な夜。

俺と菫さんが
懐かしい昔話を交わしている間

柚さんは気を使ってか
ポチを散歩につれていってくれた…。


俺は機会があれば…
と思いつつ
もうそんな機会が来ることはないと
諦めていた質問をしてみたくなった…


『菫さん… もう時効だと思ったんなら答えてくれんかなぁ… …どうして海と別れることになったんじゃ? あの頃まだ俺は定年間際で仕事も忙しかったから…何がなんやらまったく事態が飲み込めなかったんじゃよ… …ダメかい?教えてくれんか?』
と勇気をもって聞いてみた。


しばらくの沈黙のあと…


『なんだか… …私も、よく分からないんですほんとに… …海さんとの間に大きな壁とか衝突もなかったし…。ただある日突然、海さんが離婚を切り出されて…。』
そう懐かしさと
寂しさが混ざりあったような
それでいて
懐かしい思い出を語るような…

そんな表情の菫さんだった。


『あでもね、お父さん…。離婚を私が了承して、あの頃暮らしていた井江を出る日の朝。お母さんが訪ねてこられて、私の前で土下座までなさって謝られたの…私のせいです!私のせいです!って何度も何度も謝って…   ……あれって、いったいお母さん、なにを言いたかったんでしょうかね…。私の方こそ、お母さんにはたくさん可愛がってもらったのに…。謝られることなんて思い当たらず…。』

そう菫さんは
俺に教えてくれた。

それは
俺も志帆から聞いていない事実だった。

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