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蜜蜂オヤジ。

第17章 懐かしい昔と狂気な夜。

俺が自宅に戻ったときには
玄関前で
柚さんがすでに
こちらに背中を向けた菫さんらしき女性と
にこにこと立ち話をしていた


俺に気付いた柚さんは

『あ!お父さん。ほら菫ですよ!』と
俺に手を振りって合図した。
柚さんのリアクションにつられて
その背中をこちらに向けていた女性が
俺に振り向いた


あ……
確かに
あの頃まだ20歳になったばかりで
海に嫁いできてくれた頃の菫さんからは
かなり大人びた感じになっていたが
よく見ると
唇の右端にあるホクロ…
間違いなく
菫さんだった…。


『お父さん、ご無沙汰してます…。この度は………。』
そう菫さんは深々とお辞儀をしてくれた


『いやいや…こんな遠いところまで、わざわざ線香をあげに来てくれるなんて、逆に申し訳ない…。あんなにあんたに辛い思いをさせたのに……。』


『……もう昔のことです…。さすがに海さんには、ちょっと気まずいから会いたくなかったけど、お母さんには短い間だったけど…可愛がっていただいたし…』


菫さんはそう
俺と志帆を気遣いながら
『これ…つまらないものですが…』も
わざわざお供えものまで
持参してくれていた。


『あ…!まあこんなところで立ち話もなんだから… …さ…中へどうぞ』

俺は菫さんと柚さんを自宅にあげた。

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