テキストサイズ

蜜蜂オヤジ。

第11章 抑えていた感情。

『あらためて…みんなお疲れ様。母さんもきっと喜んでるよ。』

俺はそう初盆の法要に駆けつけてくれた
忍たち家族に
礼を言った。


『でもさぁ…桜ちゃん。イヤなこと言うけど、玄関先の隅っこ…ちょっと埃がたまってなかった?今日は親戚だけだからよかったけど、もっと法要が大がかりなら… …父さんが恥ずかしい思いをするから、しっかりしてね。』
と柚さんが
桜さんにそう言葉をかけた。


『あ…すみません。今後は気を付けますから…。』
桜さんはうつむき加減で
すまなそうに柚さんに答えた…

『おいおい… …ママ。桜さんが今回の法要ぜんぶやってくださったんだから…そんな言い方は悪いよぉ…』

忍がそう柚さんを嗜めた…
それがかえって
柚さんを苛立たせたのか…

柚さんは
『あぁ~ぁ。いいわよね。桜さんは可愛いし美人さんだから、みんなからいつも助け船。長男の嫁だから当たり前でしょ!そんなこと言われるの…。』
と返してきた…

『あっ!そうだ、カケルくん、ダイ。向こうにキッズコーナーあるから、おじちゃんも付いて行くから、遊ばない?』
忍はそう提案して
カケルとダイを連れてテーブルを離れた。


……相変わらず
危機察知能力は高い次男坊だ…

昔から
忍は薫と海に挟まれて
水のように衝突を回避するチカラだけはあった。

今も
柚さんと桜さんの間の
ビミョーな緊張状態から
真っ先に退散しやがって… 


俺はしかたなく
柚さんの話を聞くはめになってしまった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ