嘘つきな唇
第6章 *最愛*
「……皆様……
私は7年前の桜が舞い散る季節に、
この会社に入社しました……
ほんとに入りたかった会社だったから、
あの時はとても嬉しかったのを、
今でもはっきりと覚えて居ます……
この会社に入っていろいろな事が、
ありました……
掛け替えの無い親友も、
この会社で出来ました……
それから沢山の仲間……
お世話になった社長を始め、
チーフのお二方……
ほんとに長い間ご指導下さり、
有り難うございました。至ら無い、
社員で申し訳ありませんでした。
……この度……
私的な事情で私は7年間務めた、
会社を今日付けで退職する事に、
なりました……
この忙しい時期の突然の、
退職願いの我が儘を聞いて下さった、
関谷チーフ……
ほんとに有り難うございました。
そしてほんとに申し訳ありません。
皆様に多大なご迷惑を、
お掛けしてしまう事をどうか、
お許し下さい……
……これからも……影ながら、
この会社の益々のご繁栄と、
皆様のご健康を願って居ます。
……それでは皆様7年もの長い長い間……
……大変お世話になりました……
……私は……
思って居る事の全てを、
最後の挨拶に変えて皆に伝えた……
……わあ!パチパチパチパチ!……
……すると……
部署中の皆から割れんばかりの、
拍手が巻き起こった……
……皆?……
嫌な顔されると思ったのに……