放課後は保健室で
第8章 到着
「お前は………確か、保健室の」
渡辺啓太が私から離れて先生に向かう。
「覚えててくれてありがとうございます。…ちょっと失礼」
そう言ってこちらに構えていたケータイを結が中心にいる集団に構え直し、シャッターを切った。
またあのなんとも間の抜けたシャッター音が響く。
「おい、やべえぞっ!今の写真…」
オレンジの髪の男の声に反応し、その周辺の男らが顔を見合わせ先生の方に歩いてくる。
「…ちっ。面倒くせェことになったなァ。」
「わりいがセンセ、俺らそんな写真撮られちゃマズいんだよ」
うわ、こうやって凄んでくるとすっごい怖い人達だ。
「君たちは隣の工業高校の生徒さんですね?」
彼らの気迫に全く動じず、優しい先生versionの声で話しかけている。
長い前髪とメガネに隠れて表情はよくわからないが、口元はにこやかに笑っていた。